失われた温度と

2016年5月15日 日常
ごくごく稀に、胸の奥にこれがしたい! という情熱を感じることがある。
そしてそれとほぼ同時に、それを縛る鎖を、閉じ込めている檻の存在を感じる。
熱を、枷を、檻を、確認した瞬間に、ふっと熱が引いてゆく。
夏の終わりの線香花火のように。

父方の祖母の兄が亡くなったらしい。
母が言うには、これで祖母の兄弟は祖母を残してみんな死んでしまったらしい。
(残して、という言い方は変かもしれない。きっと、死にたくて死んだわけじゃあないだろうから)

人の死には慣れない。
それに慣れてしまうのは、もっと嫌な話ではあるけれど。
父や母や血を分けた兄弟、親しい人が死ぬというのはどういう感覚なのだろう?
母方の祖父が亡くなったとき、俺は特になんとも思えなかった。
集まった彼の親戚や、母が泣いていたのを見ながら、妹や従兄弟たちの泣き声を聞きながら、特に感情を動かされることはなかった。
祖父が死んだんだぞ? ここまで何も感じないものなのか? と、悲しむべきときに正常に悲しめないことに苛立ちすら感じ始めていた。
これまでに何度か感じていた精神的な欠損みたいなものを、決定的に感じた瞬間だった。
果たして俺は……。

……なんて。
こんなことを、常日頃から死にたいと思い、死にたいと言っている人間が考えるようなことではない。
――というのが、この話の笑えるところなんだけどね。

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